2019年、冬の奇跡。

11月8日で開業してから丸3年経つ。

開業当初、よく聞かれたことがあった。

「こんな良い場所、どうやって見つけたの?」

 

2019年冬。

東京のお店で働いていた時、バレンタインデーの催事が終わった後、しばらく冬休みがもらえていた。

”…そろそろ本格的に動かなきゃいけないのかな…”と思いながら、金沢に帰省した。

この年は、2月の金沢とは思えないくらい雪が少なく、(そんなに現実味はないけれど)物件探しの真似事でもしようかなと、自転車で街中をウロウロした。

”竪町ストリート、ちょっと違う”

”尾山神社近辺、ジェラート屋が入れそうな物件がなさそう”

”せせらぎ通り、なんか自分には華やかすぎる”

”長町エリア、店舗物件がなさそう”

”新竪町、落ち着いててよい感じかも”

こんなことを思いながら、自転車を走らせていた。

物件探しの初日、そろそろ帰ろうかとせせらぎ通りを走っていた時、ふと「あそこのピザ屋さんの入口ってどこだろう?」と気になった。

近くまで行くと知らない道が一本、見に行ってみると、素敵な雰囲気のお店が何軒かあった。

時間も遅かった為、その日はお店には入らず帰った。

 

せせらぎ通り 金沢市

 

翌日、昨日見たあの素敵な雰囲気のお店に行ってみると、そこはアンティークの雑貨を販売しているお店だった。

少し緊張しながら中に入ってみると、アンティークの家具や雑貨がところ狭しと置かれた店内に、ひとり店員さんが立っていた。

窓から差し込むやわらかな光が、店員さんを優しく照らしており、まるで絵に描いたような光景だった。

「こんな素敵なお店が金沢にあったんだ…」と感動しつつ、お店をみせてもらった。

一通り見せていただいた後、店員さんと少し話をしている中で、自分がジェラート屋をやりたくて店舗を探していることを打ち明けた。

そうしたら「うちのオーナーがもしかして相談にのれるかもしれません」と言い、連絡先を教えてくれた。

その後すぐにオーナーさんにも会え、相談にのってもらった結果、冬休みの帰省から3日くらいで今の物件に巡り合い、あれよあれよという間に話が進んだ。

 

周りには「今年中にお店をやりたい」と自信満々に宣言していたが、いざコトが進みだすとちょっと怖気ずく自分がいた。

ただ、物件の話をしている時、アンティークショップのオーナーさんが「せせらぎ通りにジェラート屋さんがあると良いよね。ジェラート食べて歩いてる人たちが想像できるし。」と言ってくれた。

不安だった気持ちが少し和らぎ、”本当に自分のお店ができるかもしれない”と思えてきた。

 

あの数日間の出来事は、まるで映画のワンシーンのように、今でも鮮明に覚えている。

奇跡的とか、運命の出会いとか、そういう言葉はあまり好きではないけれど、あの冬の出来事は奇跡としか思えない…

 

せせらぎ通り ジェラート屋 カレー屋