フルーツのジェラートのこと

初めて、”美味しいフルーツのジェラートを食べた”と記憶しているのは、イタリアではなく、日本だった。
ジェラート作りに携わってから、日本のフルーツの美味しさを改めて知ったが、正直、奥が深すぎてまだ全然ついていけていない。
もっと積極的に調べて、足を運び、知識を増やさなければいけないと思いながら、もう3年くらい経ってしまった。
修行をしていた東京のシンチェリータでは、季節ごとに最高級の果物が届き、それが当たり前のように思っていた。
そしていざ開業するにあたり、果物の仕入れ先を考えた時、当てがなく途方に暮れた。
性格上、師匠が使っているものをそのまま使うことは、独立する意味がないような気もしたし、自力で探しながら、より良い食材を知っていけば良いかなと思い、現在に至っている。
しかし、どうしても使いたい果物に関しては、農家さんを紹介していただき使っている。
自分がフルーツのジェラートを作るとき、一番意識することは「生で食べるよりも美味しいと感じられること」。
生意気に聞こえるかもしれないが、これが果物を大切に育てた方々への敬意だと思っている。
たまにジェラートにしたことがない果物をリクエストされることがあるが、自分の中で生で食べたほうが美味しいと思う果物はジェラートにしない。
ちょっと頑固なことはわかっていながらも、フルーツのジェラートが好きだからこそ、柔軟になれないところだ。
今年の春夏もいろいろな果物をジェラートにできた。
昨年よりよくできたもの、今年はいまひとつだったもの、いろいろあるからまた来年が楽しみになる。
そして、これからシーズンを迎える林檎や柑橘、洋梨が今年はどんな出来になるのかもワクワクする。
ちなみに、すでに仕込みが終了した紅玉(林檎)は、毎年のことながらとても美味しくできたと思っている。
